千葉県いすみ市
有機米100%の給食を実現!
地元産有機米100%の給食を短期間で実現し、全国から注目を集めた千葉県いすみ市。
生物多様性豊かな地域の自然環境を、どうやって次の世代に残すか――。
行政と市民がともに議論する中で、子どもたちの食と地域おこしが結びついた。
わずか4年足らずで実現した有機米100%の給食
いすみ市の有機米づくりのきっかけは、2012年に設立された「自然と共生する里づくり連絡協議会」にある。地域の豊かな環境を次世代に残そう、という行政と市民の議論の中で提案されたのが有機米づくりだった。それが本格化したのは2014年からで、NPO法人民間稲作研究所の故・稲葉光國氏に技術指導を仰いで収穫に成功する。
この有機米の用途として農家から提案されたのが、市立小中学校の学校給食への提供で、2015年から学校給食への導入を始めた。
給食によって支えることで有機米の生産は着実に成長し、2017年の収穫をもって給食米の全量にあたる42トンの提供を達成。2018年度から有機米100%の給食を実現している。
●鮫田晋さん(いすみ市農林課)
“学校給食に導入していくことで有機米づくりという新しい産業を育てていくんだ、という目的意識が高かった”
有機米づくりの推進を行政の側で担った農林課の鮫田さん。
だが、当初から農業について知識を持っていたわけではない。
「ド素人もいいところ。だって、除草剤を使っていることも知らなかった。その人間が今では有機農業の技術を普及している」と語る。
有機米導入に伴う給食食材費の増額は保護者負担ではなく市の予算で補填されたが、有機米づくりが産業振興・地域おこしにつながると訴えていくことで広く理解を得られた、という。
●矢澤喜久雄さん(農事組合法人みねやの里 代表理事)
“学校給食で使ってくれるという販路が保証されたということで、有機に参加してくれる仲間も増えた”
最初に有機米づくりに手を挙げた「農事組合法人みねやの里」の矢澤さん。それまでは無農薬・有機という選択肢を考えたこともなかった、という。
有機米の収穫に成功した際、「せっかくだったら、子どもたちに食べてもらいたい」と農家側から学校給食への提供を提案した。安全な食材を子どもたちに食べてもらいたい、との想いだけでなく、有機米づくりを広く市民に知ってもらうべきだ、という考えもあった。
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